建築・インテリア学科 インテリアデザインコース
作品仕様
作品解説
現在、駅ホームでは様々な事故が起きているが、駅空間はハード面での対策に特化している。しかし、私はソフト面に鍵があると考え、駅ホーム上で利用者に安心感(不安感)を与える要因が何であるか調査し、事故減少のための知見を得るため本研究を行った。その結果、単にホーム上の物理的な広さだけではなく、「自然を感じられる工夫」や「周囲を確認できる明るさ」など、安心感(不安感)とは無関係に見える要因が大きな影響を与えていることを明らかにした。
多くの人が行き交う駅では、さまざまな事故が起きている。私たちは、この大きな社会問題の中で生活している。私はホーム上のわずかな傾き、つまり「勾配」から疑問を持った。あなたは、駅ホーム上の傾きによって線路上へ引き込まれるような感覚を持ったことはないだろうか。この勾配は、雨水などの水はけをよくするために規定されている。しかし、それは不安感も、もたらしている。そもそも駅ホーム上で利用者に安心感(不安感)を与える要因とは、何であるのか。先行研究から床面の傾きと人間の心理生理への影響について探った。また駅の事故に対する統計データから、これまでの対策について調査した。その結果、現時点ではハード面(ホームドアなど)の取り組みが主であることがわかった。そこで、色彩などのデザインや天井の高低差が異なる駅空間を比較しまとめた。その結果、駅ホームで安心感をもたらすにはソフト面での対応が重要であると仮説を立てた。一方、山手線全駅を対象としたホームの勾配の測定を行った。その結果、線路からの距離と不安感には関連のあることを証明した。これらを踏まえ、駅全体として安心感を与える要因をインタビュー調査し、その結果から安心感を与える4つの心理的特性及びそれと関連する物理的要因を明らかにし、一覧表にまとめた。