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作品解説
近年は新型コロナウイルスなどの影響で感染症対策が生活の一部となった。それは災害時も例外ではなく、感染症対策を意識しながら避難生活を送ることになる。そこで、感染症対策も考慮した新たな避難所や応急仮設住宅の提案が必要と考えた。そこで本研究では、災害時の住環境に対する若者の要望や耐性を建築の環境要素を主軸に調査し、今後の避難所や応急仮設住宅に求められる住要求を明らかにすることが目的である。
本研究では、災害時の若者の住環境に対する要望や耐性を調査するため、文献調査や過去の災害の事例調査、首都直下地震の被害想定、2回のアンケート調査、応急仮設住宅の住環境測定調査を行った。アンケート調査内容は、「自宅と応急仮設住宅の居住性の要求レベルの違いに関する調査」「避難所と応急仮設住宅の居住性の要求レベルの違いに関する調査」である。アンケート調査の結果、避難施設に対する各環境についての耐性や要求レベルが分かった。温熱環境では、冷暖房器具が使用できないことに対する耐性が避難所では高い。一方、応急仮設住宅では耐性が低い結果になった。音環境では、遮音性の向上を期待している。特に外部からの音に対して耐性が低い。また、現在の若者は周囲の人のネガティブな発言に敏感であることがわかった。空気環境では、感染症対策の観点からも換気性能の向上が重要である。また、結露・カビの発生に対して耐性が低いことがわかった。光環境では、避難施設での照明に対しての耐性は高い。通信環境では、家族や友達と連絡が取れる通信環境に対しての要求レベルが高いことがわかった。今回、災害時の避難所と応急仮設住宅の住環境に対する若者の住要求について調査をしてきた。そこから、非常時の住環境について改めて確認すると共に、新たな時代に合わせた要求なども知ることができた。今後の課題としては、幅広い世代への調査および今後の避難所・応急仮設住宅の具体的な計画案について検討を進めていく予定である。