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作品解説
障害を持つ子どもを抱える親が亡くなったあとの「親亡き後問題」は社会全体の課題となりつつある。この問題は障害を持った子どもを抱える親の不安であり「これから誰がどのようにして自分の子どもの生活を支えてくれるのか」このような将来に対する不安は障害者自身も同様に抱えていると考えられる。
そこで本研究では障害者が直面する住まい・生活実態に関する問題を明らかにし、自立を目指す障害者の生活の提案を目的としている。
自立した生活を送る上で施設入所や同居家族等からの地域生活に移行・社会参加・障害の特性にあった住まいづくりが重要な要素となる。
地域生活に移行するためには、その地域社会が障害を理解すると同時に障害者自身も主体性を持つことが重要となり、そのためには福祉サービスや障害者を取り巻く課題を周知させるような取組みも必要である。周知してもらうためには障害施策などの情報提供や学校教育の場での交流・地域市民への広報・ボランティア活動の推進といった身近に障害に関する情報を得られる機会をつくるべきであり行政が実施するサービスを利用するだけの生活に限るのではなく、就労や地域生活の体験の場などに参加することも地域生活から社会参加までの移行を促す上で必要な要素となる。また、地域生活を安心して送るためには住まいの確保が必要となるのだが、障害者が自立するなかで施設・家族等から独立して生活を送る場合、困難な点があり障害の特性に応じたサポートや住まいづくりも必要となる。
知的障害・身体障害にかかわらず自立した生活を送るために共通することは周りのサポートである。それは地域生活への移行においても同様のことであり周囲と共生していくことが社会生活への第一歩である。
最後に障害者を支えているのは家族に集中しているのが現状である。それは親亡き後問題にもつながり地域生活への移行が遅れてしまうため介護者の負担を軽減するためのサポート体制の充実・強化を図ることが必要となるが、これらを障害者自身とその家族で解決することは困難でありそのためには制度・支援を広め、認知されることや周囲の理解を得ることが自立を支えるための今後の課題となる。