作品仕様
作品解説
建築物は設計時に荷重値を設定して造られる。その中でも積載荷重値に関してはその場所の使われ方など多方面で使用目的や使用方法を検証し、そこでの用途を考慮したうえで設定がされる。しかし、近年リノベーションが行われる事例の増加により現存した状態を維持したまま荷重値の変動に対策しなければならない状況が生まれつつある。
本研究では、用途変更が行われる際の積載荷重の変動に着目し、どのような用途変更が行われ積載荷重がどのように変化したかを明確にする。
本研究では主に2つの事柄に関する調査を行った。一つ目が用途変更事例の調査である。用途変更の傾向を調査するため雑誌新建築2017年1月号から2021年12月号の過去5年間に掲載されている建築物の主要用途、用途変更の有無を調べ、用途変更が行われているものに関しては用途変更前の用途も調査した。その結果1051件中76件で用途変更が行われていることが分かった。また用途変更が行われた事例の変更前の用途の内訳を見たところ住宅、学校の数が多かった。
2つ目が積載荷重による用途変更の調査である。先に述べた変更前の用途が住宅、学校であった事例から3つに絞りそれらの変更後の積載荷重の計算を行い変更前の用途の法律で定められている荷重値と比較した。
これらの検証の結果、計算を行ったすべての事例において変更前よりも荷重値を上回ることが分かった。
今回の調査で、用途変更事例の種類はある程度想定可能であり、今後は設計時に用途変更の可能性も考慮できれば建物の長寿命化促進の可能性が高まると期待できると考えた。