建築・インテリア学科 インテリアデザインコース
作品仕様
作品解説
家族、友人、恋人、様々な関係性がある中で「推し」という存在が多くの人にとって重要視されています。「推し」とはいわゆる、アイドルやキャラクターなど様々な「ファン対象」の総称で近年よく耳にしますよね?そして、今や日本人の 4 人に 1 人が利用していると言われているインスタグラムでは、現在「#推しのいる生活」という投稿が若い世代を中心に流行しています。そこで、私は推しを飾り SNS に投稿する行為に着目し研究を進めました。
本研究は「#推しのいる生活」の具体的な内容を明らかにし、空間に「推し」を取り入れると生活が豊かになることを主張することを目的とし、仮説を3つたてた。仮説Ⅰ「『#推しのいる生活』は互いの新たな像を作りだす」仮説Ⅱ「『推し』を飾ると、幸福感が高い空間を作ることができる」仮説Ⅲ「『#推しのいる生活』はインテリア意識を高める」
2章では先行研究を元にインテリアの概念について明らかにした。インテリアのあり方とは、好きなものを部屋に置くことだとわかり本研究では、好きなものは「推し」に置き換えられると考える。次に、仮説1を検証するためインテリア、SNS、ファン心理の3つの観点から考察した。それぞれの観点から情報の共有は新たな自己像を作り出すと言えたため、仮説1は検証された。3章では推しのいる生活の歴史と海外の事例を調査した。Instagramは利用者数を増やすと同時に様々なハッシュタグが作られ、その派生として2018年ごろから「#推しのいる生活」は使われ始めた。また現代の推し活の背景には江戸時代の歌舞伎が関係するのではないかという考察に至った。さらに海外の方々に推し活について質問をしたところ、日本との違いや共通点が明らかになった。4章はアンケートの結果から仮説を検証した。「推し」を飾る人は、自己満足度が高く、プラスの面が多く出たことから仮説2は検証された。しかし、SNSの利用に関してインテリア意識に差は出なかったため仮説3は検証できなかった。次に推しのいる生活の事例と傾向を調査した。推しのジャンルや国によってもインテリアに異なる個性が出ておりとても興味深い結果となった。最後に「#推しのいる生活」が社会にどう役立つか考えた。推し活、インテリア共にコロナ禍で消費動向は近年好調ではあるがさらなる発展を考えると、推し活施設の需要を見込み対象の商業施設の開設や「#推しのいる生活」は前向きな生活を送るためのアプローチになるためそれを軸とした住宅設計を行うなど今後は推し活が日本の経済を支えていけるのではないかと考えている。
結論:「『#推しのいる生活』は生活が豊かになる」は更なる検証の余地があるため実証されなかったが、その可能性を示唆することができた。
おわりに
ここまで研究を進め、近年「推し」をさりげなく取り入れる人が多いことが分かりました。
その理由は、インスタグラムで映えるためだけでなくそれだけ、「推し」という存在が生活の一部にさりげなく存在しているからなのではないかと考えています。「推し」という非現実的な存在が空間の一部に現実に存在することこそが「#推しのいる生活」なのではないでしょうか?