建築・インテリア学科 インテリアデザインコース
作品仕様
作品解説
マスクを着用する現在の生活は、直接会ってコミュニケーションをとることの意味をなさず、親密な関係を築くことをいっそう困難にしてしまっているのではないかと考えるようになった。そこで、マスク着用の有無が、他者との心理的な距離の感じ方にどう影響しているかを、パーソナルスペースに着目して明らかにすることを研究の目的とした。結果、環境や他者との関係性によって、マスク着用の意味や与える印象が複雑化していることが明らかになった。
マスク着用の有無が、他者との心理的な距離の感じ方にどう影響しているかを、パーソナルスペースに着目して明らかにすることを研究の目的とした。環境・コト・ヒトからなる研究枠組みを設定し、パーソナルスペースの変化とその要因を明らかにする。
3章、4章では「マスクをつけた人」へのイメージ調査を行った。10 枚の写真を用いて、印象評価調査と、「どの程度まで近づかれてもよいか」という総合評価を行ってもらった。結果は、マスクを着用すると顔が見えにくくなるため、相手の見た目や表情そのものよりも、自分と性格が合うかどうかといった相性をより深く判断し、対人距離を決定していることが明らかになった。
5章ではマスクの着用に加え、環境やコトなどの他の要素によって心理的距離感の感じ方にどう影響があるかを明らかにするため、パーソナルスペースの測定実験を行った。パーソナルスペースに影響を与える要因として、建物の外と中、マスクありとなし、会話ありとなし、被験者の性格、被験者と実験者の関係性を設定した。結果は、マスク着用の有無は、全体としては対人距離への影響は小さいが、対人関係性によってはマスクの有無が影響する場合があることがわかった。さらに、他人同士の場合、マスクをした相手に対しては、建物内のパーソナルスペースの方が大きくなることが明らかになった。
結論として、環境や相手との関係性によってマスクの意味や与える印象が複雑化しており、それが心理的な距離感に影響していることが明らかになった。よって、パーソナルスペースから見た場合、マスク着用により、対人コミュニケーションもより複雑化したと考えられる。