建築・インテリア学科 インテリアデザインコース

作品仕様
作品解説
COVID-19の世界的大流行が収束した現在、日本にも多くの外国人観光客の姿が戻りつつある。そんな中、ニュースでも取り上げられるほど、観光地での外国人観光客によるマナー違反のトラブルが問題となっている。現状、外国人観光客は日本経済にとって非常に重要な存在であり、観光業の発展は地域経済の活性化にも大きく寄与している。しかし、外国人観光客が日本独自の慣習を理解していないことから起こるトラブルや、インバウンド対策が不十分な場所が多いのが現実である。本研究は、多くの多言語が飛び交う観光地という場所の『ピクトグラム』の役割・必要性を『浅草』という国内でも主要な観光地に限定して調査し、考察したものとなっている。
本研究におけるピクトグラムとは、視覚的に情報を伝えるために使用される図像や記号のことである。ピクトグラムは言葉の壁を超えて情報を伝える手段として、広く利用されている。その目的は、言語に依存せずに、誰にでも直感的に理解できる情報を提供することにある。現代のピクトグラムは、特に公共の場や国際的なイベントで広く利用されており、そのシンプルさと普遍性が特徴である。観光地では、その国々の文化の違いにより、悪意のないトラブルが後を絶たない。そこで、既存の『ピクトグラム』が外国人観光客にどのように認識され、有効性があるのか。逆に、観光地で暮らす人々はどのような意図で『ピクトグラム』を使用しているのか。観光地において、どのようなことが問題となっているのかを、アンケートやインタビュー調査といった現地調査で調べそれらをもとに考察した。
結論として、既存の『ピクトグラム』には様々な面で統一性が無く、外国人観光客の認識に差異が出てしまう原因となっていること。そして、商業区での外国人観光客のマナー違反に比べ、居住区に入り込む外国人観光客に対する不信感の方が大きい。ということが分かった。ゆえに、私が考える『浅草』に今必要である『ピクトグラム』は、商業区と居住区を分ける境界線の役割を持つものである。今後、このようなピクトグラムが外国人観光客と観光地に住まう人々にためになればと、期待している。