建築・インテリア学科 インテリアデザインコース

作品仕様
作品解説
ホラー映画において恐いと感じる要素に、幽霊の出現や音響効果だけでなく、空間そのものにも恐怖を生み出す重要な要素があると考えた。そのため、本研究では日本のホラー映画における恐怖シーンの空間構成が、観客にどのような恐怖を与えるか明らかにすることを目的としている。その結果、空間要素には視覚的・心理的両面から観客に恐怖を与え、身近な空間の舞台がリアリティのある恐怖を生み出していることが明らかになった。
本研究は、日本のホラー映画における恐怖シーンの空間が観客に与える影響を明らかにすることを目的とする。研究対象は、1996年から2006年に製作された『女優霊』『リング』『らせん』『死国』『リング2』『富江』『回路』『仄暗い水の底から』『呪怨』『着信アリ』『叫』の11作品である。
分析の結果、恐怖シーンの割合(恐率)は全体的に低く、何でもないシーンが恐怖を引き立たせる要因となっていることが分かった。恐怖シーンの舞台として最も多いのは「一軒家」や「アパート」であり、日常的な空間が恐怖を増幅させる。具体的な空間としては「通路」や「和室」が多く、長く狭い廊下は視覚的な不安感を与え、和室の静けさが緊張感を生み出している。さらに、恐怖空間を形成する要素として、「暗い」「狭い」「静か」「湿潤環境」「老朽化・汚い」「歪・異質」といった要素が共通していることが明らかになった。
結論として、日本のホラー映画における恐怖シーンの空間構成要素は、視覚的制限による不安感や閉塞感を生み出し、日常的な空間を舞台とすることでリアリティのある恐怖を形成している。これらの要素が組み合わさることで、Jホラー特有の恐怖演出が作られている。今後は異なる視点からさらに深く研究を進めたい。
研究方法
分析結果