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作品解説
近年、日本では地震などの自然災害が頻発しており、子どもを対象とした防災教育の重要性が高まっている。しかし、学校や地域で行われている防災教育の多くは大人の存在を前提としており、登下校中や留守番中など、大人が不在の状況での対応については十分に扱われていない。特に就学前後の子どもにとっては、災害時の行動を具体的にイメージすることが難しいという課題がある。そこで本研究では、防災絵本に着目し、来年度小学生となる年齢の子どもが、大人不在時に地震に遭遇した際、自ら命を守る行動について主体的に考えることができる可能性を検討することを目的とする。
本研究では、就学前後の子どもが大人不在時に地震に遭遇した際、自ら命を守る行動を主体的に考える力を育てることを目的として、防災絵本を提案し、その有効性をワークを通して検証した。提案した防災絵本は、地震発生時の具体的な場面を物語として描き、子ども自身が状況を想像しながら「自分ならどうするか」を考えられる構成とした点に特徴がある。また、正解を一方的に示すのではなく、複数の選択肢を提示することで、子どもが主体的に判断する力を引き出すことを意図した。ワークの結果、絵本の読み聞かせ後には、防災に対する関心が高まり、地震時の行動について自分なりに考え、発言する姿が見られた。さらに、絵本という親しみやすい媒体を用いたことで、恐怖心を過度に与えることなく、防災を前向きに捉える姿勢が育まれた点も重要である。一方で、短時間の実践であったため、学びが長期的に定着するかについては課題が残る。今後は、防災絵本を家庭や学校で継続的に活用するとともに、地域特性を反映した内容へと発展させていくことが求められる。
